父をこれ以上病院に置いてはいけないと確信してから、実際に脱出させるまでの間は非常に長く感じた。
胃が痛いし、眠れないし、病室での険しい顔、痰の吸引を嫌がる父、病室で怯えている姿を想像すると、耐えられなかった。
昨年末、誤嚥性肺炎で入院した父が、退院後に施設に戻る事が出来ずに、相当困っている時がありました。
どこかうまく付き合ってくれる病院は無いかと、母のかかりつけの先生に、ふと尋ねた時、
ここの先生は、ご本人が小さい頃に入院した経験があり、患者目線で付き合える良い先生だよと、教えてくれた病院があった。
今回その先生を思い出そうとしたが、それらしき先生は見つからない。2日間検索するも見つからない。
が、ふと、その珍しい苗字を思い出した。思い出したと言うより、ピンと出てきた。
20年程前の同僚と同じ苗字だった事を思い出したのだった。
ネットで調べたら、先生のSNSのアカウントがわかった。
不躾なのは重々承知だったが、藁をも掴む思いで、その先生にメッセージを送ってみた。
直ぐに返事が来た。返信の内容がとても丁寧で、私は涙が出た。
「話せる人は少しでも食べられる人、口を自力で閉じられる人は少しでも水分を飲める人」というリハビリテーション栄養の世界では常識だと書いてあった。その時点で、父はまだ喋れたし、病院も個室の方が良いとはっきり言えた。
だが、点滴だけの治療が1週間、更に延長されると日々弱って行き、やせ細っていくのだった。
相談する相手のいない、私の文章にも真摯に答えて下さった。
父に、「嘘ばっかりだ」言われ心が折れた時も、
「凄く重くて辛い言葉です。何が「嘘ばっかりなのでしょう?」これからもお父様の思いが言葉になるのを待って聴いてあげてください。」と返信を下さった。
こんなにやっているのに・・・と、どうすれば良いのかわからないでいる私に、
”耳を傾けて、聴くという事も大切な緩和ケアなんだ”という事を教えてくれました。的確なアドバイスに、私は救われました。